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    痛み・麻酔読了 約16分

    タトゥーの痛みはどれくらい?部位別ランキングと痛みを抑える方法を医師監修で解説

    タトゥーの痛みは部位、デザイン、施術時間、体調、麻酔の有無で大きく変わります。痛い部位・痛くない部位、工程別の体感、痛みを抑える準備、麻酔クリームの安全な使い方まで医師監修で解説します。

    須賀 公佑 医師Medically Supervised監修:須賀 公佑 医師inklinic代表
    目次

    タトゥーを入れる前に、いちばん気になるのは「どれくらい痛いのか」だと思います。結論から言うと、タトゥーは無痛ではありません。ただし、痛みの強さは部位、デザイン、施術時間、体調、不安の強さ、麻酔の使い方で大きく変わります。

    この記事では、初めてタトゥーを検討している方に向けて、痛みの目安を部位別・工程別に整理します。さらに、医師監修の視点から、痛みを抑える準備、麻酔クリームを使うときの注意点、医療機関へ相談したほうがよいケースまでまとめます。

    タトゥー施術中の痛みと部位差のイメージ

    タトゥーの痛みはどれくらい?先に結論

    タトゥーの痛みは、よく「細い針で引っかかれる感じ」「強めの日焼けの上をこすられる感じ」「熱さとヒリヒリが混ざった感じ」と表現されます。ただし、これはあくまで比喩です。痛みの感じ方にはかなり個人差があります。

    医学的には、タトゥーは針で皮膚の表面を通り、真皮と呼ばれる層に色素を入れる施術です[2]。皮膚には痛みを感じる神経があるため、刺激を受ければ痛みが出ます。特に、皮膚が薄い場所、骨が近い場所、神経が多い場所、皮膚がよく動く場所では痛みを強く感じやすくなります。

    一方で、痛みはコントロールできます。施術前の睡眠、食事、水分、デザインの大きさ、休憩の取り方、アーティストとのコミュニケーション、そして必要に応じた医療管理下の麻酔で、体感は大きく変わります。

    部位別の痛みランキング

    痛みの目安は、海外の痛み調査や皮膚・解剖の知見、スタジオでの一般的な経験則を合わせて整理するのが現実的です。Witkosらの研究では、タトゥー中・施術後の痛みの感じ方に性別や部位差があることが報告されています[1]。ただし、痛みの順位は研究によって完全に固定されるものではありません。ここでは「初めての人が計画しやすい目安」として見てください。

    痛みの目安 部位 痛みが出やすい理由 初めて向き
    比較的軽い 上腕の外側、前腕の外側、太ももの外側、ふくらはぎ 筋肉や脂肪があり、骨に響きにくい 向いている
    中くらい 肩、二の腕内側、背中、腰、胸の外側 部位によって皮膚の厚みや神経の近さが変わる 小さめなら選びやすい
    強め 肋骨、足首、手首、膝まわり、肘まわり、鎖骨まわり 骨が近く、皮膚が薄い場所が多い 慎重に検討
    かなり強い 手指、足の甲、脇、首、背骨の真上、内もも 神経が多い、皮膚が薄い、動きやすい 初回は避けてもよい
    タトゥーの痛みを決める4つの要素 1. 皮膚の厚み 薄いほど刺激を感じやすい 2. 骨・神経との距離 骨に近い部位は響きやすい 3. 施術時間と工程 長時間ほど後半でつらくなりやすい 4. 体調と不安 睡眠不足や空腹で強く感じることがある 部位だけでなく、デザイン、時間、体調、麻酔の有無で体感は変わる。

    痛みが少ない部位を選ぶなら

    初めてで痛みが不安な方には、上腕の外側、前腕の外側、太ももの外側、ふくらはぎなどが選びやすい部位です。筋肉や脂肪が比較的あり、骨に直接響きにくいためです。ワンポイントや細めのラインから始めると、施術時間も短くなりやすく、体力的な負担も抑えやすくなります。

    一方、肋骨、足首、手指、足の甲、首まわりは痛みを強く感じる方が多い部位です。足首は皮膚が薄く骨や腱が近いため、初めての方は痛みを強く感じることがあります。詳しくは、足首タトゥーの痛みの記事でも解説しています。

    腰や背中は「広い面が使えるから楽」と思われがちですが、背骨の真上や骨盤のふちに近い部分では痛みが出やすくなります。腰を検討している方は、腰のタトゥーの痛みの記事も参考にしてください。

    工程別に痛みは変わる

    同じ部位でも、施術の工程によって痛みの種類は変わります。

    ラインは、輪郭を作る工程です。細い刺激が続くため、最初に「思ったより鋭い」と感じる方がいます。シェーディングは、ぼかしや陰影を作る工程です。面でこすられるような感覚があり、広いデザインでは後半にヒリヒリが強くなりやすいです。カラーを入れる工程では、同じ場所に複数回触れることがあるため、皮膚が敏感になっているとつらく感じることがあります。

    また、施術中はインクや血液、余分な液体を拭き取ります。この拭き取りの刺激を痛く感じる人もいます。痛みは「針だけ」で決まるわけではなく、長時間の姿勢、緊張、皮膚の乾燥、拭き取り刺激も含めた総合的な体験です。

    痛みを強くしやすい条件

    痛みを強く感じやすい条件には、いくつか共通点があります。

    • 睡眠不足
    • 空腹
    • 脱水ぎみ
    • 体調不良
    • 強い不安や緊張
    • 長時間の施術
    • 皮膚の乾燥や日焼け
    • 前日の飲酒

    飲酒は出血やむくみ、体調不良につながることがあるため、施術前後は避けるのが無難です。痛み止めについては、自己判断で飲むのではなく、服薬中の薬や持病がある方は事前に医師やスタジオへ相談してください。血が止まりにくくなる薬を飲んでいる場合などは、特に確認が必要です[6]。

    痛みを抑えるために前日からできること

    痛み対策は、施術当日だけではありません。前日から体を整えておくことが大切です。

    まず、よく眠ること。睡眠不足は緊張や疲労を強め、痛みをつらく感じやすくします。次に、食事と水分です。空腹のまま施術を受けると、気分が悪くなったり、集中力が落ちたりすることがあります。長時間の施術では、途中で糖分や水分をとれるようにしておくと安心です。

    服装も重要です。施術部位を出しやすく、締めつけの少ない服を選びましょう。足首や腰など、帰り道で衣類がこすれやすい部位では、摩擦を避けられる服装を準備しておくと楽です。

    そして、痛みを我慢しすぎないこと。痛みが強いと体が動きやすくなり、施術もしにくくなります。休憩したい、姿勢を変えたい、少し水を飲みたい、という希望は早めに伝えてください。

    麻酔クリームで痛みはどこまで抑えられる?

    麻酔クリームは、痛みを完全にゼロにするものではありません。ただし、適切に使えば、痛みの感じ方をかなり抑えられることがあります。

    INKLY TATTOOでは、同ビル1Fの提携医療機関 inklinic と連携し、医師または看護師の管理のもとで塗る麻酔に対応しています。麻酔の使用可否は医師の判断に基づきます。スタジオが独自に医療行為を行うのではなく、医療機関と役割を分けて対応している点が大きな特徴です。詳しくは、麻酔利用に対応したタトゥー施術で説明しています。

    当店で麻酔クリームを使用した方へのアンケートでは、有効回答988件のうち、約93%が「少しだけ痛い」以下と回答しました。うち約62%は「ほとんど痛みはなかった」または「全く痛みはなかった」と回答しています。ただし、これは自社調べであり、痛みの感じ方や麻酔の効き方には個人差があります。効果を保証するものではありません。

    麻酔を使った場合の痛みアンケート結果

    当店の施術後アンケート(自社調べ・有効回答988件)では、全回答ベースで「全く痛みはなかった」27.0%、「ほとんど痛みはなかった」35.0%、「少しだけ痛みがあった」31.2%、「かなり痛みがあった」5.4%、「麻酔を使用しなかった」1.4%でした。

    「麻酔を使用しなかった」回答を除き、麻酔を使った方だけで再計算すると、約94.5%が「少しだけ痛い」以下、約62.9%が「ほとんど痛みはなかった」または「全く痛みはなかった」と回答しています。

    回答 全回答ベース 麻酔使用者ベースでの目安
    全く痛みはなかった 27.0% 約27.4%
    ほとんど痛みはなかった 35.0% 約35.5%
    少しだけ痛みがあった 31.2% 約31.6%
    かなり痛みがあった 5.4% 約5.5%
    麻酔を使用しなかった 1.4% 除外

    この数字は「麻酔を使えば必ず痛くない」という意味ではありません。部位、デザイン、施術時間、皮膚の状態、体調によって感じ方は変わります。それでも、痛みが怖くてタトゥーを諦めていた方にとって、医療者の管理下で麻酔を使う選択肢はかなり大きいと考えています。

    自己判断の麻酔クリームには注意

    海外では、タトゥーや美容施術の痛みを抑える目的で高濃度の外用麻酔薬が販売され、問題になっています。FDAは、タトゥーやピアスなどの美容手技の前後に使う高濃度リドカイン製品について、吸収が増える使い方では不整脈、けいれん、呼吸障害などの重い健康被害につながる可能性があると警告しています[5]。

    特に、広い範囲に塗る、長時間密封する、傷のある皮膚に使う、複数の麻酔成分を自己判断で使う、といった方法は危険です。麻酔を希望する場合は、医療者が関わる形で相談してください。

    初めての人におすすめの進め方

    初めてで痛みが不安な方は、次のように進めると失敗しにくくなります。

    1. 小さめのワンポイントから始める
    2. 上腕外側、前腕外側、太もも外側などを候補にする
    3. 肋骨、手指、足の甲、首は初回では慎重に考える
    4. 長時間作品より、短時間で終わるデザインにする
    5. 麻酔を使うかどうかを事前に相談する
    6. 施術中に痛みが強いときは早めに伝える

    痛みが不安なことは、恥ずかしいことではありません。むしろ、痛みへの不安を先に共有できるほうが、アーティストも休憩やデザイン、配置、麻酔の相談を組み立てやすくなります。

    医師へ相談したほうがよいケース

    タトゥーは皮膚に傷をつけ、色素を入れる施術です。多くの方は問題なく経過しますが、感染、アレルギー、慢性的な炎症、ケロイドなどのリスクはあります[4, 7]。

    次に当てはまる方は、施術前に医療機関へ相談してください。

    • ケロイド体質がある
    • アトピー性皮膚炎、乾癬、慢性的な湿疹がある
    • 金属や色素、外用薬で強いアレルギーが出たことがある
    • 糖尿病、免疫に関わる病気、感染症の治療中である
    • 血が止まりにくい薬を飲んでいる
    • 妊娠中、授乳中、体調が不安定である
    • 過去のタトゥーで強い腫れ、膿、しこり、長引くかゆみが出た

    また、施術後に痛みや赤みが日に日に強くなる、膿が出る、熱が出る、赤みが広がる、強いかゆみや盛り上がりが何週間も続く場合は、早めに皮膚科を受診してください。

    タトゥーの痛みに関するよくある質問

    タトゥーで一番痛い部位はどこですか?

    一般的には、肋骨、手指、足の甲、脇、首、背骨の真上、膝や肘の周囲などは痛みが強いとされます。皮膚が薄い、骨が近い、神経が多い、動きやすいといった条件が重なるためです。

    痛くない部位はありますか?

    完全に痛くない部位はありません。ただし、上腕外側、前腕外側、太もも外側、ふくらはぎなどは比較的受けやすい部位です。小さめのデザインにすると施術時間も短くなり、負担を抑えやすくなります。

    麻酔を使えば無痛になりますか?

    無痛を保証するものではありません。麻酔の効き方には個人差があり、部位やデザイン、施術時間でも変わります。ただし、医療管理下で適切に使うことで、痛みを大きく抑えられる場合があります。

    痛みに弱い人でもタトゥーは入れられますか?

    可能です。痛みに弱い方ほど、部位選び、デザインの大きさ、休憩、麻酔の相談が大切です。無理に我慢するより、最初から痛みが不安だと伝えてください。

    生理中は痛みが強くなりますか?

    生理中は体調や痛みの感じ方が変わる方がいます。出血やむくみ、体調不良が気になる場合は、無理をせず日程変更を相談してください。

    途中で休憩できますか?

    できます。痛み、姿勢のつらさ、気分の悪さが出たときは早めに伝えてください。休憩をはさむことで、最後まで落ち着いて施術を受けやすくなります。

    まとめ

    タトゥーの痛みは、部位だけで決まるものではありません。皮膚の厚み、骨や神経との距離、デザイン、施術時間、体調、不安、麻酔の使い方が重なって決まります。初めてで不安な方は、比較的痛みが少ない部位に小さめのデザインを選び、施術前から睡眠・食事・水分を整えましょう。

    痛みを抑えたい場合は、自己判断で麻酔クリームを使うのではなく、医療者が関わる形で相談することが大切です。INKLY TATTOOでは、提携医療機関と連携し、医師・看護師の管理のもとで麻酔に対応しています。痛みが不安な方は、デザイン相談の段階で遠慮なくご相談ください。

    参考文献

    [1] Witkos J, Hartman-Petrycka M. Gender Differences in Subjective Pain Perception during and after Tattooing. International Journal of Environmental Research and Public Health. 2020;17(24):9466. https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC7767267/

    [2] Kassirer S, et al. Esthetic and medical tattooing: Part I. Journal of the American Academy of Dermatology. 2025. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/38980248/

    [3] Measurement of Epidermis, Dermis, and Total Skin Thicknesses from Six Different Body Regions. Turkish Journal of Plastic Surgery. 2018. https://journals.lww.com/tjps/fulltext/2018/26020/measurement_of_epidermis,_dermis,_and_total_skin.4.aspx

    [4] U.S. Food and Drug Administration. Think Before You Ink: Tattoo Safety. https://www.fda.gov/consumers/consumer-updates/think-you-ink-tattoo-safety

    [5] U.S. Food and Drug Administration. FDA Warns Consumers to Avoid Certain Topical Pain Relief Products Due to Potential for Dangerous Health Effects. 2024. https://www.fda.gov/news-events/press-announcements/fda-warns-consumers-avoid-certain-topical-pain-relief-products-due-potential-dangerous-health

    [6] Kluger N, et al. Individual Risk and Prevention of Complications: Doctors' Advice to Persons Wishing a New Tattoo. 2017. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/28288469/

    [7] Tattoos: risks and complications. PMC. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC11221160/

    Medical Supervisor

    須賀 公佑 医師

    須賀 公佑すが・こうすけ

    医師・認定産業医

    inklinic 代表 / 株式会社デルマト 代表取締役

    慶應義塾大学医学部卒業後、A.T.カーニーにて戦略コンサルタントとして国内外の医療・エンタメ・エネルギーなど多業界にわたるプロジェクトに従事。2024年、日本初の医療連携タトゥースタジオ「inkly tattoo」を設立。

    タトゥーが「自己表現の手段」として自由に選ばれる社会を目指し、麻酔による痛みの軽減や衛生管理など、医学的知見に基づいた安心・安全な施術環境を提供している。日本におけるタトゥーの医学的・科学的アプローチの第一人者。

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