目次
- まず結論:タトゥーの痛みを30秒で
- なぜタトゥーは痛いのか——痛みの「正体」
- 針は真皮まで届き、毎秒およそ100回皮膚を刺す
- 痛みを伝える2種類の神経——「鋭い痛み」と「後を引く痛み」
- 痛点が多い場所=痛い場所
- 部位別の痛みの目安【NRS定量マップ】
- 査読研究でわかっていること
- 痛みが少ない部位を選ぶなら
- 工程別に、痛みの「種類」は変わる
- 他の痛みと比べてどう?
- 痛みは「人による」——個人差の科学
- 麻酔クリームで痛みはどこまで抑えられるのか
- 外用麻酔の「科学」——どこまで届くのか
- 「彫師は麻酔を嫌う」は本当か
- 自己判断の市販麻酔は危険——だから医師管理
- 痛みを抑えるために、前日〜当日にできること
- 施術後の痛みはいつまで? 正常と異常の見分け方
- 医師に相談したほうがよいケース
- 初めての人へ:失敗しない進め方
- タトゥーの痛みに関するよくある質問
- タトゥーで一番痛い部位はどこですか?
- 痛くない部位はありますか?
- 麻酔を使えば無痛になりますか?
- 痛みに弱い人でもタトゥーは入れられますか?
- 出産や注射と比べてどれくらい痛いですか?
- 生理中は痛みが強くなりますか?
- 途中で休憩できますか?
- まとめ
タトゥーを入れる前に、いちばん気になるのは「どれくらい痛いのか」だと思います。結論から言うと、タトゥーは無痛ではありません。ただし、痛みの強さは部位、デザイン、施術時間、体調、不安の強さ、そして麻酔の使い方で大きく変わります。そして痛みは、正しく知れば「コントロールできる」ものです。
この記事は、慶應義塾大学医学部卒の医師でありタトゥースタジオを運営する立場から、痛みの「正体」を神経・皮膚のしくみまで掘り下げ、海外の査読論文や公的機関(FDA・米国皮膚科学会など)の情報をもとに整理したものです。彫師の経験談だけでなく、医学的な根拠(エビデンス)と、現場での実感の両方からお伝えします。

まず結論:タトゥーの痛みを30秒で
- 痛みは「細い線で引っかかれる感じ」「強い日焼けの上をこすられる感じ」と表現されますが、感じ方には大きな個人差があります。
- 痛みが強い場所は、皮膚が薄い・骨が近い・神経が多い・よく動く部位(肋骨、手指、足の甲、脇、首、背骨の真上など)。
- 痛みが軽い場所は、筋肉や脂肪があって骨に響きにくい部位(上腕外側、前腕外側、太もも外側、ふくらはぎなど)。
- 痛みは「部位」だけで決まりません。睡眠・食事・不安・施術時間・麻酔の使い方で体感は大きく変わります。
- 塗る麻酔(外用麻酔)は、医療管理下で正しく使えば痛みを大きく抑えられます。一方、自己判断の市販麻酔は重い健康被害の報告があり危険です[7, 8]。
ここから、その一つひとつを医学的に解説します。
なぜタトゥーは痛いのか——痛みの「正体」
針は真皮まで届き、毎秒およそ100回皮膚を刺す
タトゥーは、色素(インク)を皮膚の表面ではなく、その下の「真皮」という層に定着させる施術です。表皮(いちばん外側の層)は約4週間で生まれ変わって剥がれ落ちるため、絵を一生残すには、その下の真皮までインクを届ける必要があります。医学的な解説によると、針はインクを皮膚表面下およそ1.5〜2mmの真皮に沈着させ、その際に毎秒およそ100回というスピードで皮膚を穿刺します[3]。
つまりタトゥーの痛みは、「痛みを感じる神経が集中している層を、高い頻度で何度も刺激し続ける」ことによって生まれます。だから、針の一刺し一刺しは小さくても、それが連続することで「ヒリヒリ」「チリチリ」とした独特の痛みになるのです。
痛みを伝える2種類の神経——「鋭い痛み」と「後を引く痛み」
痛みは、皮膚にある「侵害受容器(しんがいじゅようき)」という、痛み専用のセンサーで感知されます[2]。そして痛みの信号を脳へ運ぶ神経には、性質の違う2種類があります[2]。
- Aδ(エーデルタ)線維:伝導が速く、チクッとした「鋭い・はっきりした痛み(第一の痛み)」を伝えます。
- C線維:伝導が遅く、じんわり「灼けるような・後を引く痛み(第二の痛み)」を伝えます。
タトゥー中に感じる「最初のチクッ」と「あとからジワジワ来るヒリヒリ」は、この2種類の神経の働きで説明できます。これは気のせいではなく、神経のしくみそのものです。
痛点が多い場所=痛い場所
痛みを感じる神経の終末は、皮膚の表皮と真皮の境目あたりに多く分布しています[4]。そのため、
- 皮膚が薄い(センサーまでの距離が近い)
- 骨が近い(振動が骨に響く)
- 神経の密度が高い(指先など)
- よく動く・皮膚が引っぱられる
といった条件が重なる部位ほど、痛みを強く感じやすくなります。次の章で、これを部位別に整理します。
部位別の痛みの目安【NRS定量マップ】
部位ごとの痛みの差は、海外の研究、皮膚・解剖の知見、そしてスタジオでの経験則を合わせて見るのが現実的です。ここでは目安として、痛みの強さを「NRS(0=痛みなし〜10=想像できる最大の痛み)」のおおよそのレンジで示します。
ただし最初に、正直にお伝えすべき大切な前提があります。**部位ごとの細かい「痛みランキング」は、厳密な測定データではなく、専門家やコミュニティの一致した見解(経験則)に基づくものです。**信頼できる大規模な査読研究(後述)でも、部位は「上肢・下肢・体幹・首」といった大きな区分までしか比較できていません[1]。ですから、下の表は「順位を競う絶対値」ではなく、「初めての方が計画を立てるための目安」として見てください。
| 痛みの目安(NRS) | 部位 | 痛みが出やすい理由 | 初めて向き |
|---|---|---|---|
| 軽め(2〜4) | 上腕の外側、前腕の外側、太ももの外側、ふくらはぎ | 筋肉や脂肪があり、骨に響きにくい | 向いている |
| 中くらい(4〜6) | 肩、二の腕の内側、背中、腰、胸の外側 | 部位によって皮膚の厚みや神経の近さが変わる | 小さめなら選びやすい |
| 強め(6〜8) | 肋骨、足首、手首、膝まわり、肘まわり、鎖骨まわり | 骨が近く、皮膚が薄い場所が多い | 慎重に検討 |
| かなり強い(7〜9) | 手指、足の甲、脇、首、背骨の真上、内もも | 神経が多い・皮膚が薄い・よく動く | 初回は避けてもよい |
査読研究でわかっていること
タトゥーの痛みを大規模に調べた数少ない査読論文に、Witkośらの研究(2020年、対象1,092名)があります。NRS(0〜10の数値評価スケール)を用いたこの研究では、次のことが報告されています[1]。
- 施術中の痛みの強さに、男女で明確な差はなかった(女性4.31 vs 男性4.48)。
- 施術後の痛みは、女性のほうがやや強く訴える傾向があった。
- 上肢のタトゥーは、下肢や体幹より「痛みが他の部位に響く(放散する)」頻度が高かった。
「女性のほうが痛みに弱い」という思い込みは、少なくとも施術中の痛みに関しては当てはまらない、というのは知っておいてよい事実です。なお、ネット上でよく見る「男女で痛い部位が違う」といった細かい主張には、信頼できる研究の裏づけはありません。
痛みが少ない部位を選ぶなら
初めてで痛みが不安な方には、上腕の外側、前腕の外側、太ももの外側、ふくらはぎなどが選びやすい部位です。ワンポイントや細めのラインから始めると施術時間も短くなり、体力的な負担も抑えやすくなります。はじめての方ははじめてのタトゥーで知っておきたい基本のことも参考にしてください。
一方、肋骨、足首、手指、足の甲、首まわりは痛みを強く感じる方が多い部位です。足首は皮膚が薄く骨や腱が近いため、痛みを感じやすい場所です(足首タトゥーの痛みの記事)。腰や背中は「広い面が使えて楽」と思われがちですが、背骨の真上や骨盤のふちは痛みが出やすくなります(腰のタトゥーの痛みの記事)。
工程別に、痛みの「種類」は変わる
同じ部位でも、施術の工程によって痛みの感じ方は変わります。
- ライン(輪郭):細く鋭い刺激が続きます。最初に「思ったより鋭い」と感じる方がいます。
- シェーディング(ぼかし・陰影):面でこすられるような感覚。広い範囲では後半にヒリヒリが強くなりやすいです。
- カラー(色入れ):同じ場所を何度も通るため、皮膚が敏感になっているとつらく感じることがあります。
- 拭き取り:インクや血液を拭く刺激を痛く感じる人もいます。
痛みは「針だけ」で決まるのではなく、長時間の同じ姿勢、緊張、皮膚の乾燥、拭き取りの刺激まで含めた“総合的な体験”だと考えると、対策も立てやすくなります。
他の痛みと比べてどう?
「どれくらい痛いのか」を、よく知られている他の痛みと並べると、イメージしやすくなります。下表はあくまで一般的な目安で、感じ方には個人差があります。
| 体験 | 痛みのタイプ | 目安 |
|---|---|---|
| 採血・予防接種 | 一瞬の刺し込み | 短い・一回 |
| ピアス(耳たぶ) | 一瞬の刺し込み | 短い・一回 |
| 医療脱毛(レーザー) | 弾かれる・熱い刺激の連続 | 部位により中〜強 |
| タトゥー(痛みが軽い部位) | 引っかかれる連続刺激 | 我慢しやすい |
| タトゥー(痛みが強い部位) | 骨に響く・ヒリヒリの連続 | 強い・長く続く |
タトゥーは「一瞬の鋭さ」では注射ほどではないものの、「同じ刺激が長く続く」点が他と違います。だからこそ、部位選び・デザインの大きさ・休憩・麻酔といった“続く痛みへの設計”が効いてきます。
痛みは「人による」——個人差の科学
同じ部位・同じデザインでも、人によって痛みの感じ方は変わります。これは根性の問題ではなく、神経や心理のしくみによるものです。
- 不安・緊張は痛みを強める:痛みは脳で増幅されます。「怖い」と身構えるほど痛く感じやすくなります。逆に、流れを理解して安心できると、体感は和らぎます。
- 睡眠不足は痛みを強める:睡眠を奪われると痛みの感受性が上がることが、実験研究で示されています[9]。前日の睡眠は立派な「痛み対策」です。
- 体調・空腹・脱水:低血糖や脱水は、気分の悪さや失神(血の気が引く反応)につながり、痛みもつらく感じやすくなります。
つまり「痛みに弱いから無理」ではなく、条件を整えれば誰でも体感は下げられる、というのが正しい理解です。
麻酔クリームで痛みはどこまで抑えられるのか
ここが、他のどの記事も正面から答えていない、いちばん大事なテーマです。結論は明確です。塗る麻酔(外用麻酔)は、痛みをゼロにする魔法ではありませんが、医療管理下で正しく使えば痛みを大きく抑えられます。
外用麻酔の「科学」——どこまで届くのか
代表的な外用麻酔であるEMLA(リドカインとプリロカインの配合クリーム)の効き方は、研究で具体的に分かっています。皮膚にしっかり塗って時間を置くと、麻酔が効く深さはおよそ60分で3mm、120分で5mmまで広がります[5, 6]。
ここで前の図を思い出してください。タトゥーのインクが入る深さは約1.5〜2mm、針はその層を毎秒約100回刺します[3]。つまり、十分な時間をかけて正しく塗れば、針が届く深さをしっかりカバーできるのです。逆に言えば、塗る時間が短すぎたり、塗り方が浅かったりすると、深い部分まで効き切らず「効かなかった」となりがちです。「クリーム麻酔は効かない」という声の多くは、この“使い方”の問題です。
なお、最良の条件でも痛みが完全に消えるわけではありません。外用麻酔を使った医療処置の研究でも、痛みは「大きく軽減するが、ある程度は残る」ことが示されています[6]。だからこそ、麻酔は「我慢を不要にするための土台」であり、休憩や部位選びと組み合わせて使うのが現実的です。
「彫師は麻酔を嫌う」は本当か
「麻酔を使うと仕上がりが落ちる」「プロは使わない」という説をよく見かけます。しかし、これらの多くは医学的な根拠の提示がないまま語られています。実際には、適切な製剤を適切な時間・範囲で使えば、施術の質を保ちながら痛みを抑えることは十分に可能です。大切なのは「使うか・使わないか」の二択ではなく、「誰が・どの製剤を・どう使うか」です。
自己判断の市販麻酔は危険——だから医師管理
一方で、強く警告しておきたいことがあります。海外では、タトゥーや美容施術の痛みを抑える目的で、高濃度の外用麻酔薬が個人向けに売られ、重大な問題になっています。米国FDAは2024年、タトゥー・レーザー脱毛・ピアスなどの前後に使う高濃度リドカイン製品について、消費者に警告し、複数のメーカーに警告状を出しました。広い範囲に塗る/ラップなどで長時間覆う/傷のある皮膚に使うといった「効きを良くしようとする使い方」が、不整脈・けいれん・呼吸障害といった重篤な健康被害につながり得るためです[7]。
これは大げさな話ではありません。麻酔薬が体内に過剰に吸収されると「局所麻酔薬中毒(LAST)」が起こり、血中濃度が一定を超えるとけいれんや意識消失、最悪の場合は心停止に至ります[8]。皮膚からの吸収量は、塗る面積・時間・皮膚の状態によって変わり、素人には予測できません。
だからこそ、麻酔は医療者の管理下で使うべきものです。INKLY TATTOOでは、同じビルの提携医療機関 inklinic と連携し、医師または看護師の管理のもとで塗る麻酔に対応しています。麻酔の使用可否は医師が判断し、スタジオが独自に医療行為を行うことはありません。詳しくは麻酔利用に対応したタトゥー施術とタトゥーの麻酔クリームの解説をご覧ください。
当店で麻酔クリームを使用した方へのアンケートでは、有効回答988件のうち約93%が「少しだけ痛い」以下と回答し、うち約62%は「ほとんど/全く痛みはなかった」と回答しています。これは自社調べであり、感じ方や効き方には個人差があり、効果を保証するものではありませんが、「正しく使えば痛みは大きく抑えられる」という前述の科学と矛盾しない結果です。
痛みを抑えるために、前日〜当日にできること
痛み対策は当日だけではありません。前日から体を整えることが効きます。
- しっかり眠る:睡眠不足は痛みの感受性を上げます[9]。前夜の睡眠は最も手軽で効果的な対策です。
- 食事と血糖:空腹のままだと気分が悪くなりやすく、失神の原因にもなります。施術の2時間ほど前を目安に、バランスよく食べておきましょう。長時間の施術では、途中で糖分や水分をとれるようにしておくと安心です。
- 水分をとる:脱水は体調不良につながります。
- アルコールは避ける:施術前の飲酒は出血やむくみ、発色の低下につながり得るため、前日から控えるのが無難です。
- 痛み止め・常用薬は自己判断しない:血が止まりにくくなる薬(一部の鎮痛薬や抗凝固薬など)を飲んでいる方は、にじみや治癒に影響することがあります。常用薬がある方は、自己判断で中止せず、必ず事前に医師やスタジオへ相談してください[14]。
- 当日はゆったりした服装で:施術部位を出しやすく、帰りに衣類がこすれにくい服を選びましょう。
施術中は、ゆっくり深く呼吸することが役立ちます。深くゆっくりした呼吸には、痛みの感じ方を和らげる効果が報告されています[11]。また、カフェインは鎮痛薬の効きを補助することが知られていますが[10]、単独で痛みを消すものではなく、とり過ぎはかえって緊張や震えを招くので注意してください。
そして何より、痛みを我慢しすぎないこと。「休憩したい」「姿勢を変えたい」は早めに伝えてください。痛みが強いと体が動き、施術もしにくくなります。
施術後の痛みはいつまで? 正常と異常の見分け方
施術後しばらくは、軽い痛み・赤み・腫れ・透明な滲出があるのは正常な経過です。数日でかゆみや薄皮の剥けに移り、表面(表皮)はおよそ2〜3週間で落ち着きます。一方、皮膚の奥(真皮)が完全に回復するには数か月かかることもあります[12]。
米国皮膚科学会(AAD)は、治癒中は水性の保湿剤をこまめに塗ること、ゆったりした服を着ること、紫外線・日焼けマシンを避けることを勧めています[12]。
ただし、次のようなサインは感染の可能性があり、注意が必要です[13]。
- 赤みや痛みが日ごとに強くなる、引かない
- 黄〜緑色の膿が出る
- 強い熱感、発熱や悪寒
- タトゥーから体の中心に向かって走る赤い筋(赤い線)
これらがあるときは、早めに医療機関(皮膚科)を受診してください。
医師に相談したほうがよいケース
多くの方は問題なく経過しますが、タトゥーは皮膚に傷をつけ色素を入れる施術であり、感染・アレルギー・ケロイドなどのリスクはゼロではありません[14]。次に当てはまる方は、施術前に医療機関へご相談ください。
- ケロイド体質がある
- アトピー性皮膚炎、乾癬、慢性的な湿疹がある
- 金属・色素・外用薬で強いアレルギーが出たことがある
- 糖尿病、免疫に関わる病気、感染症の治療中である
- 血が止まりにくい薬を飲んでいる
- 妊娠中・授乳中、または体調が不安定である
- 過去のタトゥーで強い腫れ・膿・しこり・長引くかゆみが出た
INKLYは提携医療機関と連携しているため、こうした不安も含めて事前に相談できます。
初めての人へ:失敗しない進め方
- 小さめのワンポイントから始める
- 上腕外側・前腕外側・太もも外側などを候補にする
- 肋骨・手指・足の甲・首は初回では慎重に考える
- 長時間の大作より、短時間で終わるデザインにする
- 麻酔を使うかどうかを事前に相談する
- 施術中、痛みが強いときは早めに伝える
痛みが不安なことは、恥ずかしいことではありません。先に共有してもらえるほど、休憩・配置・デザイン・麻酔の組み立てがしやすくなります。デザインの雰囲気はアーティスト紹介や作品ギャラリーも参考にしてください。
タトゥーの痛みに関するよくある質問
タトゥーで一番痛い部位はどこですか?
一般的には、肋骨、手指、足の甲、脇、首、背骨の真上、膝や肘の周囲などは痛みが強いとされます。皮膚が薄い、骨が近い、神経が多い、動きやすいといった条件が重なるためです。
痛くない部位はありますか?
完全に痛くない部位はありません。ただし、上腕外側、前腕外側、太もも外側、ふくらはぎなどは比較的受けやすい部位です。小さめのデザインにすると施術時間も短くなり、負担を抑えやすくなります。
麻酔を使えば無痛になりますか?
無痛を保証するものではありません。麻酔の効き方には個人差があり、部位やデザイン、施術時間でも変わります。ただし、医療管理下で適切に使うことで、痛みを大きく抑えられる場合があります。
痛みに弱い人でもタトゥーは入れられますか?
可能です。痛みに弱い方ほど、部位選び、デザインの大きさ、休憩、麻酔の相談が大切です。無理に我慢せず、最初から痛みが不安だと伝えてください。
出産や注射と比べてどれくらい痛いですか?
比べ方が難しい質問です。注射は「一瞬の鋭さ」、タトゥーは「同じ刺激が長く続く」点が違います。多くの方は「耐えられないほどではないが、長く続くのがつらい」と表現します。痛みの感じ方は人それぞれで、部位やデザインでも変わります。
生理中は痛みが強くなりますか?
生理中は体調や痛みの感じ方が変わる方がいます。出血やむくみ、体調不良が気になる場合は、無理をせず日程変更を相談してください。
途中で休憩できますか?
できます。痛み、姿勢のつらさ、気分の悪さが出たときは早めに伝えてください。休憩をはさむことで、最後まで落ち着いて施術を受けやすくなります。
まとめ
タトゥーの痛みは、部位だけで決まるものではありません。皮膚の厚み、骨や神経との距離、デザイン、施術時間、体調、不安、そして麻酔の使い方が重なって決まります。痛みのしくみ(針は真皮まで・毎秒約100回・2種類の神経)を知り、痛みが少ない部位に小さめのデザインを選び、前日から睡眠・食事・水分を整えれば、体感は確実に下げられます。
そして、痛みを抑えたいときに最も大切なのは、自己判断で市販の麻酔を使わないことです。外用麻酔は医療管理下で正しく使ってこそ、安全に効果を発揮します。INKLY TATTOOは医師・看護師が関わる体制で、痛みが不安な方の施術に対応しています。痛みへの不安は、デザイン相談の段階で遠慮なくお聞かせください。
参考文献
[1] Witkoś J, Hartman-Petrycka M. Gender Differences in Subjective Pain Perception during and after Tattooing. International Journal of Environmental Research and Public Health. 2020;17(24):9466. https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC7767267/
[2] Dubin AE, Patapoutian A. Nociceptors: the sensors of the pain pathway. Journal of Clinical Investigation. 2010. https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC2964977/
[3] Medical News Today(医学監修記事). Tattoos: Does the ink travel through your body? https://www.medicalnewstoday.com/articles/318388
[4] Anatomy, Skin. StatPearls / NCBI Bookshelf. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/books/NBK441980/
[5] Wahlgren CF, Quiding H. Depth of cutaneous analgesia after application of a eutectic mixture of lidocaine and prilocaine (EMLA). Journal of the American Academy of Dermatology. 2000. https://www.jaad.org/article/S0190-9622(00)90169-5/abstract
[6] Topical Anesthetics(外用麻酔のレビュー). PMC. https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC4676230/
[7] U.S. Food and Drug Administration. FDA Warns Consumers to Avoid Certain Topical Pain Relief Products Due to Potential for Dangerous Health Effects. 2024. https://www.fda.gov/news-events/press-announcements/fda-warns-consumers-avoid-certain-topical-pain-relief-products-due-potential-dangerous-health
[8] Lidocaine Toxicity. StatPearls / NCBI Bookshelf. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/books/NBK482479/
[9] Total sleep deprivation increases pain sensitivity. PLOS ONE / PMC. https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC6892491/
[10] Derry CJ, Derry S, Moore RA. Caffeine as an analgesic adjuvant for acute pain in adults. Cochrane Database of Systematic Reviews. https://www.cochranelibrary.com/cdsr/doi/10.1002/14651858.CD009281.pub3/full
[11] Busch V, et al. The effect of deep and slow breathing on pain perception. Pain Medicine. https://academic.oup.com/painmedicine/article/13/2/215/1936333
[12] American Academy of Dermatology. Caring for tattooed skin. https://www.aad.org/public/everyday-care/skin-care-basics/tattoos/caring-for-tattooed-skin
[13] Cleveland Clinic. Tattoo Infection. https://my.clevelandclinic.org/health/diseases/23295-tattoo-infection
[14] Kluger N. Tattooing: Individual Risk and Prevention of Complications. 2017. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/28288469/
Medical Supervisor

須賀 公佑すが・こうすけ
医師・認定産業医
inklinic 代表 / 株式会社デルマト 代表取締役
慶應義塾大学医学部卒業後、A.T.カーニーにて戦略コンサルタントとして国内外の医療・エンタメ・エネルギーなど多業界にわたるプロジェクトに従事。2024年、日本初の医療連携タトゥースタジオ「inkly tattoo」を設立。
タトゥーが「自己表現の手段」として自由に選ばれる社会を目指し、麻酔による痛みの軽減や衛生管理など、医学的知見に基づいた安心・安全な施術環境を提供している。日本におけるタトゥーの医学的・科学的アプローチの第一人者。

