目次
- 01Q. 塗った部分の赤みは、どのくらいで引きますか
- 02Q. かゆい、硬い、小さな水ぶくれがある。これも想定内ですか
- 03Q. かぶれと、タトゥーそのものの炎症はどこが違いますか
- 04Q. しびれが数時間たっても残っています。まず何を確認すればよいですか
- 05Q. 水ぶくれ・強い腫れ・広がる発疹。受診を急ぐサインはどれですか
- 06Q. 感染かどうかは、どこで見分けますか
- 07Q. 受診先は皮膚科、施術スタジオ、提携医療機関のどこですか
- 08Q. 次回、同じことを起こさないためにできることは
- 09よくある質問
- 麻酔クリームを塗った部分が白くなったり赤くなったりします。異常ですか
- しびれが施術後も数時間残っています。まず何を確認すればよいですか
- かぶれとタトゥーそのものの炎症はどう違いますか
- すぐ受診したほうがよいサインは何ですか
- 受診先は皮膚科、施術スタジオ、提携医療機関のどこですか
Q. 塗った部分の赤みは、どのくらいで引きますか
出典[1]の国内添付文書に記載された2成分配合の外用麻酔薬の塗布部位には、赤み(紅斑)や白っぽさ(蒼白)が出ることが添付文書に記載されています。添付文書では、同薬のクリーム製剤とパッチ製剤の国内臨床試験結果を合わせた頻度として10%以上とされ、めずらしい反応ではありません[1]。同じ成分の海外製品情報では、塗った部分の血管がまず縮み、その後に広がるという二段階の反応が起こると説明されています[3]。白くなってから赤くなる流れは、この血管の反応によるものです。レーザー治療や注射の前に使われる医療用の麻酔クリームでも、こうした色の変化はよく知られたものです。
赤みが消えるまでの時間は、成分、濃度、塗った量、ラップで密封したか、どれだけの時間置いたか、そして針の刺激の強さで変わります。そのため「何時間で引く」と一律には言えません。皮膚レーザー治療での国内使用成績調査では、副作用は3,125例中40例(1.3%)で、内訳は紅斑13例(0.4%)、蒼白11例(0.4%)などでした。塗布部位の有害事象は3,244例中74例に80件(2.3%)で、いずれも重いものではありませんでした[2]。これはレーザー治療での数字で、タトゥー施術そのものを調べたものではありません。
経過時間に加えて、症状が軽くなっているか、強まっているかを確認します。翌日にかけて赤みが薄くなっていく場合は、悪化ではなく改善の方向にあると考えられます。逆に、赤みが濃くなる、範囲が広がる、痛みやかゆみが増す場合は、後で述べる受診のサインに当たります[7]。同じ角度と明るさで写真を撮っておくと、自分でも変化の向きを確かめやすくなります。
Q. かゆい、硬い、小さな水ぶくれがある。これも想定内ですか
出典[1]の外用麻酔薬の添付文書では、頻度0.1〜10%未満の反応として潮紅、硬結(皮膚が硬くしこりのようになること)、そう痒症(かゆみ)が挙げられています。さらに頻度不明の反応として、小水疱、発疹、蕁麻疹、接触皮膚炎、湿疹、皮膚びらん、浮腫が記載されています[1]。かゆみや軽い硬さは想定される範囲に入ります。一方、水ぶくれやびらん(皮膚の表面がめくれた状態)は頻度不明の反応として記載されているだけで、範囲の広がりや痛み、滲出液、全身症状を伴う場合は医師の判断が必要です。
小児のレーザー治療や注射針・静脈留置針穿刺での使用を調べた調査では、安全性解析376例中2例(0.5%)に副作用があり、接触皮膚炎と塗布部位の痛みが各1例(各0.27%)でした。いずれも重いものではありませんでした[2]。頻度は低くても、症状の出方には違いがあります。ご自身の症状の経過も確かめてください。
使い方の基準も知っておくと役立ちます。添付文書によると、出典[1]の外用麻酔薬の効能は皮膚レーザー照射療法時の疼痛緩和と、注射針・静脈留置針穿刺時の疼痛緩和です。この承認された使い方の範囲では、成人は10cm²あたり1gを密封して60分置き、1回の量は10gまで、塗布時間は120分を超えないとされています[1]。タトゥー施術はこの承認された使い方に含まれないため、この基準がそのまま当てはまるとは限りません。それでも、自分がどれくらいの範囲に、どのくらいの時間塗られたかを覚えておくと、あとで医師に伝えるときの手がかりになります。

Q. かぶれと、タトゥーそのものの炎症はどこが違いますか
タトゥーを入れた直後は、赤み、腫れ、痛み、透明な液のにじみが出ます。治る途中のかゆみ、皮むけ、かさぶたも通常の治癒の一部になり得ます[7]。米国FDAも、施術後に赤み、腫れ、皮膚の熱感がみられることがあるとしています[6]。針を入れた線の上やそのすぐ周りが赤いのは、それだけでは異常ではありません。
かぶれ(接触皮膚炎)は、厚生労働省の重篤副作用マニュアルで、刺激性とアレルギー性を含むいくつかの型に分けられています。刺激性は薬剤を使った直後から当日に、触れた部位にひりひり感、痛み、赤みが出ます。アレルギー性は、使用しているうちにある時点から急に発赤、丘疹、じゅくじゅくした滲出液、かゆみが出るとされています[4]。針を入れた場所だけでなく、クリームやラップが触れた範囲全体に症状があるなら、麻酔クリームや貼ったフィルムの側を疑う手がかりになります。
ただし、見た目だけで麻酔クリームによるかぶれ、ラップや粘着フィルムによる反応、インクへの反応、通常の炎症を確実に見分けることはできません。厚生労働省のマニュアルは、症状が出た場合は医師や薬剤師に相談すること、リンパ節の腫れや全身への広がり、発熱があれば早めに医師へ相談することを勧めています[4]。自分で決めつけず、写真で経過を記録し、次に述べる受診の目安に当てはめてください。
Q. しびれが数時間たっても残っています。まず何を確認すればよいですか
出典[1]の外用麻酔薬と同成分の海外製品情報では、正常な皮膚に密封して1〜2時間塗った場合、麻酔の効果は被覆材を外してから少なくとも2時間続くとされています(顔面を除く)[3]。施術が数時間に及べば、終わった時点でまだ感覚が鈍いのは不自然ではありません。ただしこれは同成分の製品での説明で、スタジオで使われる麻酔クリームすべてに当てはまるわけではありません。
しびれが長引くとき、まず確認したいのは「何を、どこに、どれだけ、いつ塗ったか」です。製品名と有効成分、塗った範囲の広さ、密封の有無、塗布時間、塗り終えた時刻を書き出してください。添付文書では、レーザー照射や注射針穿刺という承認された使い方について、1回10gまで、塗布時間120分までという基準が示されています[1]。タトゥー施術はこの基準の対象ではありませんが、参考情報として、医師が原因を考えるときの手がかりになります。スタジオに問い合わせれば製品名と成分は分かります。
次に確認するのは、しびれの場所です。塗った部位の感覚が鈍いだけなのか、塗っていない口の周りや舌までしびれるのかで、意味が変わります。添付文書は過量投与の初期症状として、口の周りの知覚麻痺、舌のしびれ、ふらつき、耳鳴り、視覚の異常、手のふるえを挙げています[1]。塗った場所と関係のないところに症状が出ていれば、様子を見ず、直ちに医療機関へ連絡してください。

Q. 水ぶくれ・強い腫れ・広がる発疹。受診を急ぐサインはどれですか
皮膚の症状で受診を急ぐのは、水ぶくれ、強い腫れ、広がる発疹です。厚生労働省のマニュアルでは、薬剤を使った部位に急なかゆみ、紅斑、ぶつぶつ、じゅくじゅくした液が出た場合は、アレルギー性接触皮膚炎の可能性があるとしています。リンパ節の腫れ、全身への広がり、発熱を伴う場合は、早めに医師へ相談するよう求めています[4]。
全身の症状は、皮膚の症状より優先します。米国皮膚科学会は、タトゥー部位の重い反応に注意するよう勧めています。呼吸困難、動悸、胸の圧迫感、めまい、強い腫れ、強い痛み、紅潮、じんましんのいずれかがあれば、直ちに医療を受けてください[7]。出典[1]の外用麻酔薬の添付文書も、喘鳴、めまい、発汗、呼吸困難、顔や喉の腫れ、血圧低下、意識障害が現れた場合はショック・アナフィラキシーの可能性があるとしています。この場合は直ちに中止し、適切な処置を行うとされています[1]。
呼吸が苦しい、意識がぼんやりする、けいれんが起きた、症状が短い時間で全身に広がった。こうした場合は、皮膚科の予約を待たず救急対応を求めてください。写真を撮る余裕があれば後で役立ちますが、撮影より連絡を優先します。
Q. 感染かどうかは、どこで見分けますか
施術後の赤みが治る方向に向かっているかを見る目安として、米国皮膚科学会は感染のサインを挙げています。赤みが薄くならずに濃くなる、または広がる。痛みが引かず悪化する。かゆく赤く痛いぶつぶつが出る。発熱、悪寒やふるえ、膿、開いた傷が現れる。これらがあれば、医師または皮膚科専門医を速やかに受診するよう勧めています[7]。
FDAも、赤みや腫れが治らないように見える場合や、タトゥーの周りに赤みやぶつぶつを伴う発疹がある場合、とくに発熱があれば、施術者と医療専門職の両方に連絡するよう勧めています。より強い感染では、高熱、震え、悪寒、発汗がみられることがあるとしています[6]。発熱がある場合は、原因を自己判断せず、医療機関に相談してください。
感染とかぶれは見た目が似ることがあり、自分では区別がつきません。どちらの場合も、症状が改善しているかどうかを確かめます。翌日、翌々日と比べてむしろ悪くなっている、範囲が広がっていると感じたら、原因が何であっても医療機関で診てもらう段階に入っています。
Q. 受診先は皮膚科、施術スタジオ、提携医療機関のどこですか
皮膚の症状を診断し、治療するのは医療機関の仕事です。かぶれ、水ぶくれ、発疹は皮膚科で診てもらいます。厚生労働省のマニュアルも軽症でも原因確定のために皮膚科専門医への紹介が必要としています[4]。呼吸困難、意識障害、けいれん、急速に広がる全身症状では、皮膚科ではなく救急対応が必要です。
診断は医療機関で受け、施術スタジオには使用した製品の情報を確認してください。使った麻酔クリームの製品名や成分、インクのブランド・色・ロット番号、消毒薬、保護フィルムの情報を持っている場合があります。FDAは、タトゥーへの反応が起きた場合、施術者にインクのブランド、色、ロット番号や希釈液の情報を確認するよう勧めています[6]。麻酔クリームについては、スタジオが情報を持っているとは限りませんが、分かる範囲で確認しておくと医師の判断の助けになります。
inkly の施術で使った製品について不安があるときは、提携医療機関である inklinic にも相談できます。かかりつけの皮膚科でも構いません。大切なのは、症状が悪くなる方向にあるなら、どこであっても早く医師に見せることです。受診の前に、症状の写真、塗った製品と時刻のメモ、スタジオから聞いた製品情報をひとつにまとめておいてください。
Q. 次回、同じことを起こさないためにできることは
今回かぶれた経験は、次の施術で必ず伝えてください。厚生労働省のマニュアルは、アレルギー性接触皮膚炎について、使用しているうちにある時点から急にかゆみや発赤、丘疹、滲出液が出る場合があるとしています[4]。何にかぶれたのかを皮膚科で確かめておくと、麻酔クリームを変えるのか、ラップや保護フィルムを変えるのか、判断の材料になります。原因が分からないまま同じ組み合わせを繰り返すのは避けたいところです。
もうひとつ大切なのは、傷ついた皮膚に塗り直さないことです。出典[1]の外用麻酔薬の添付文書は、損傷皮膚には使用しないとしています[1]。針が入った後の皮膚は、すでに傷がある状態です。施術の途中や直後に痛みが戻ってきても、自己判断でクリームを重ね塗りしないでください。痛みの対処は施術者と医師に任せる領域です。
過去に麻酔クリームでかぶれた、口の周りがしびれた経験がある、持病や服用中の薬がある。こうした事情は予約時にお伝えください。事前に分かっていれば、当日の進め方について相談しやすくなります。ただし、口の周りのしびれは添付文書が過量投与の初期症状として挙げているものです[1]。今まさに症状があるときは、次回の予約を待たず、速やかに医療機関へ相談してください。
よくある質問
麻酔クリームを塗った部分が白くなったり赤くなったりします。異常ですか
出典[1]の国内添付文書に記載された2成分配合の外用麻酔薬では、紅斑や蒼白が10%以上の頻度で添付文書に記載されています。同成分の海外製品情報では、血管がまず縮み、その後に広がる二段階の反応が説明されています。翌日にかけて薄くなっていくなら経過を見てよい方向です。濃くなる、広がる、痛みが増すなら受診のサインです。
しびれが施術後も数時間残っています。まず何を確認すればよいですか
製品名と有効成分、塗った範囲、密封したか、塗布時間、塗り終えた時刻を書き出してください。次にしびれの場所を確認します。塗っていない口の周りや舌までしびれる、ふらつき、耳鳴り、視覚の異常、手のふるえがあれば、過量投与の初期症状として添付文書に記載されているものです。様子を見ず、直ちに医療機関へ連絡してください。
かぶれとタトゥーそのものの炎症はどう違いますか
施術直後の赤み、腫れ、痛み、透明な液のにじみは通常の治癒過程に含まれます。かぶれのうち刺激性は当日中にひりひり感と赤みが出ます。アレルギー性は当日または翌日以降に発赤、腫れ、水ぶくれ、かゆみが出ます。針を入れた線ではなく、クリームやラップが触れた範囲全体に症状があるなら手がかりになりますが、見た目だけで確定はできません。皮膚科で確かめてください。
すぐ受診したほうがよいサインは何ですか
強い腫れや痛み、呼吸困難、動悸、胸の圧迫感、めまい、紅潮、じんましんなどがあれば、直ちに医療を受けてください。塗っていない口の周りや舌のしびれ、ふらつき、耳鳴り、視覚の異常、手のふるえも、直ちに医療機関へ連絡する症状です。呼吸が苦しい、意識がぼんやりする、けいれん、急速に広がる全身症状では、皮膚科の予約を待たず救急対応を求めてください。水ぶくれや広がる発疹、発熱、リンパ節の腫れも早めの受診が必要です。
受診先は皮膚科、施術スタジオ、提携医療機関のどこですか
皮膚の症状の診断と治療は医療機関で行います。基本は皮膚科で、全身症状があれば救急です。スタジオは診断の場ではありませんが、使った麻酔クリーム・インク・消毒薬・保護フィルムの製品情報を確認する連絡先として重要です。inkly の施術で使った製品に不安があれば、提携医療機関 inklinic にも相談できます。
参考文献
[1]. 佐藤製薬株式会社. (医薬品医療機器総合機構(PMDA), 2026). リンク
[2]. 佐藤製薬株式会社. (医薬品医療機器総合機構(PMDA), 2026). リンク
[3]. Aspen. (electronic Medicines Compendium(emc), 2026). リンク
[4]. 厚生労働省、公益社団法人日本皮膚科学会マニュアル作成委員会、一般社団法人日本病院薬剤師会. 重篤副作用疾患別対応マニュアル 薬剤による接触皮膚炎. (厚生労働省・医薬品医療機器総合機構(PMDA), 2023). リンク
[5]. 高山かおる、横関博雄、松永佳世子、片山一朗、相場節也、池澤善郎、足立厚子、戸倉新樹、夏秋優、古川福実、矢上晶子、乾重樹、池澤優子、相原道子. 日本皮膚科学会ガイドライン 接触皮膚炎診療ガイドライン2020. (日本皮膚科学会雑誌, 2020). doi:10.14924/dermatol.130.523. リンク
[6]. U.S. Food and Drug Administration. Think Before You Ink: Tattoo Safety. (U.S. Food and Drug Administration(FDA), 2025). リンク
[7]. American Academy of Dermatology. Tattoos: 7 unexpected skin reactions and what to do about them. (American Academy of Dermatology, 2026). リンク
Medical Supervisor

須賀 公佑すが・こうすけ
医師・認定産業医
株式会社デルマト 代表取締役
慶應義塾大学医学部を卒業後、A.T.カーニーで戦略コンサルタントとして、国内外の医療・エンタメ・エネルギーなど多くの業界のプロジェクトに携わりました。2024年に、日本初の医療連携タトゥースタジオ「inkly tattoo」を設立しました。
タトゥーが「自己表現の手段」として自由に選ばれる社会を目指し、麻酔クリームの扱いや衛生管理など、医学の知識にもとづいた安心・安全な施術環境を整えています。日本で、タトゥーに医学・科学の立場から取り組む第一人者です。
