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    ガイド読了 約10分

    東京で初めてのワンポイントタトゥー、準備と部位選びの基本

    東京で初めてワンポイントタトゥーを入れる方へ。日本での法的な位置づけ、スタジオ選び、デザイン相談、痛みの少ない部位、当日の体調管理、アフターケアまで、信頼できる出典をもとにやさしくまとめました。

    須賀 公佑 医師Medically Supervised監修:須賀 公佑 医師inklinic代表
    目次

    小さな図柄でも、タトゥーは皮膚に色素を入れる行為です。初めての一点こそ、準備を整えてから臨んでほしいと考えています。

    ワンポイントは「軽い行為」ではありません

    硬貨ほどの小さな図柄でも、針で皮膚を傷つけて色素を入れます。日本では医療行為とは整理されていません。それでも皮膚に針を刺す、身体への侵襲をともなう行為です。感染やアレルギーなど、医学的なリスクはついてまわります。米国食品医薬品局(FDA)も、施術には感染症や皮膚トラブルの可能性があると案内しています[1]。サイズの小ささと安全性は、別の話です。FDAは確認したい点として、清潔な作業環境、使い捨ての針、手袋の交換、適切な廃棄物処理などを挙げています[1]。これは東京のスタジオを選ぶときにも当てはまる基本です。

    また、タトゥーインクの管理体制は国や地域によって差があります。米国ではFDAの監督下にありますが、皮内に注入する用途で承認された色素はなく、規制の強化が議論されています[2]。だからこそ、使うインクの種類を確認できるスタジオを選ぶ目が大切です。

    日本(東京)での法的な位置づけと衛生管理

    日本では、装飾を目的とするタトゥー施術について重要な判断が出ています。最高裁判所は2020年9月16日の決定で、装飾タトゥーの施術は医師法17条の医行為には当たらないと判断しました[4]。ただし、これは「衛生管理をしなくてよい」という意味ではありません。感染対策や未成年者への対応などは、引き続き注意が必要です。タトゥー施術についての専用の法律はまだなく、安全管理のルールづくりが続いています。厚生労働科学研究班は、スタジオの衛生環境や器具の扱い、施術者の知識をどう底上げするかを検討してきました[3]。「東京だから安全」と一括りにはできません。

    お客側がチェックしやすいのは、針の開封を目の前でしてくれるか、施術ベッドのまわりが整っているか、廃棄用の容器があるかといった点です。難しい知識がなくても、現場の清潔感は十分に判断の手がかりになります。質問に嫌な顔をせず答えてくれるかどうかも、信頼の目安になります。

    所要時間とデザインの相談

    シンプルな小さい図柄なら、針を入れている時間はおおよそ30分から1時間ほどに収まることが多いようです。これは商業系のタトゥー用品サイトが示す一般的な目安で、必ずこの範囲に収まるわけではありません[5]。スタジオやデザイン、部位によって幅があります。しかもこれは「針を当てている時間」で、当日全体とは別です。当日は受付、問診、デザインの最終確認、転写、施術、ケアの説明という流れになります。針を入れる時間が短くても、トータルでは1時間半から2時間ほど見ておくと安心です。直後に大事な予定は入れないでおきましょう。

    デザインは、参考画像をそのまま渡すより、希望の雰囲気を言葉で伝えられるとスムーズです。サイズの目安、線の太さの好み、入れたい位置を書き出しておくと、提案してもらいやすくなります。迷うときは小さめ・シンプルめから始めるのも一つの考え方です。「初めてで不安です」と素直に伝えれば、歩幅を合わせて進めてくれます。

    部位選び:痛み・見え方・将来

    部位による痛みの差は、皮膚の厚みや神経の密集度、骨との近さで決まると考えられています。一般に経験的には、肋骨まわりや足首、首の付け根など骨や神経に近い場所は痛みを強めに感じやすいと言われます。太もも外側や二の腕の外側は比較的穏やかとされ、初めての一点に選ばれやすい部位です。見え方も外せません。手の甲、首、顔まわりは隠しにくい部位です。日本ではタトゥーへの受け止め方に幅があるため、職場や温泉などの生活シーンを想像しながら選ぶと後悔が少なくなります。肩や背中など、普段は隠せる部位を選ぶ方も多くいます。

    皮膚が薄い部位や関節まわり、よくこすれる指などは、退色や線のにじみが起きやすい場所として実務上よく挙がります。これはスタジオで個別に確認したい点です。長くきれいに保ちたいなら、平らで動きの少ない部位のほうが向いています。

    当日までの体調管理

    スタジオから一般に案内されることが多い注意点として、前日は睡眠をしっかり取り、食事を抜かないことが挙げられます。前日の深酒や当日の飲酒も控えるよう案内されることが多いです。空腹のまま施術台に上がると気分が悪くなりやすいので、軽く食べてから向かいましょう。公開されている同意書のテンプレート例を見ると、共通して確認される項目があります。ケロイドができやすい体質か、皮膚の病気やアレルギー・持病があるか、妊娠中・授乳中かどうかなどです[7][8]。服用中の薬を聞かれることもあります。正直に書くことが、自分を守る一番の方法です。

    当日になって体調が思わしくない、強い不安があるといったときは、無理せず予約の変更を申し出てください。良いスタジオほど、コンディションを優先した相談に応じてくれます。施術は一度きりではないので、自分のタイミングを大切にして構いません。

    施術後のアフターケア

    施術後の皮膚は小さな傷の集まりです。乾燥を防ぐと不快感が和らぎ、治り方も整いやすくなります。特定のダーモコスメ製品を用いた30例の小規模な調査では、保湿によってかゆみや赤みなどの自覚症状が軽くなったと報告されています[13]。スタジオで案内された軟膏や保湿剤を、指示された頻度で使ってください。もう一つの要が紫外線対策です。タトゥー後の皮膚は紫外線に弱く、日焼けで退色や色素沈着が起きることがあります。タトゥーを入れている人への教育として、日焼け止めの使用と皮膚への意識を高めることが提案されています[10][11]。治った後も、外出時は覆うか日焼け止めを続けましょう。

    アフターケアの方法はスタジオごとに違い、国際的に統一された基準はまだありません[12]。「ラップで覆う期間」「シャワーの可否」などの細かな点は、担当の経験や地域の事情で異なります。担当の指示を基本に、医学的に妥当な情報と照らし合わせて判断すると安心です。

    皮膚トラブルと、受診の目安

    タトゥー後に起こりうる皮膚反応には、細菌感染、アレルギー性の接触皮膚炎、肉芽腫(小さなしこり)、ケロイドなどがあります[15]。施術直後の軽い赤みや腫れ、不快感は一時的なことがあります。一方で、感染やアレルギー、肉芽腫などは治療が必要になる場合があります。インクの色によってアレルギー反応の出やすさに差があることも報告されています[15]。肉芽腫は色素への免疫反応として硬いしこりができる症状で、施術から数か月後に出ることもあります。古くは、特定の色の部分だけ盛り上がりやかゆみが続く例が報告されてきました[14]。「その部分だけ違和感がある」と感じたら、自己判断で擦らず受診を検討してください。

    受診の目安は、強い痛みが続く、膿が出る、発熱を伴う、赤みや腫れが広がる、しこりやかゆみが2週間以上引かないといったサインです。当てはまれば皮膚科に相談してください[15]。軽い赤みやかゆみは初期にはよくある反応で、数日で落ち着くことがほとんどです。

    まとめ

    小さな一点でも、自分のために選んだ印は長く残ります。衛生管理を丁寧に説明してくれるスタジオを選び、デザインは希望を言葉で伝える準備をしておきましょう。体調を整え、問診票には正直に答えることが、自分を守る基本です。「迷ったら聞く、無理しない、急がない」を合言葉に迎えてください。

    参考文献

    [1] U.S. Food and Drug Administration (FDA). Think Before You Ink: Tattoo Safety. https://www.fda.gov/consumers/consumer-updates/think-you-ink-tattoo-safety

    [2] Journal of Law and the Biosciences (2024). The pressing need for FDA regulation of tattoo ink. doi:10.1093/jlb/lsae014. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC11228856/

    [3] 厚生労働科学研究成果データベース. タトゥー施術等の安全管理体制の構築に向けた研究. https://mhlw-grants.niph.go.jp/project/161632

    [4] 厚生労働省 (2022). タトゥー施術等の安全管理体制の構築に向けた研究 分担研究報告書. https://mhlw-grants.niph.go.jp/system/files/report_pdf/202206020A-buntan1.pdf

    [5] Magnum Tattoo Supplies. How long does it really take to get a tattoo. https://www.magnumtattoosupplies.co.uk/blogs/article/how-long-does-it-really-take-to-get-a-tattoo

    [7] Jotform. Tattoo Consent Form Template. https://www.jotform.com/form-templates/tattoo-consent-form

    [8] eSign. Free Tattoo Consent Form. https://esign.com/consent/tattoo/

    [10] Journal of Clinical and Aesthetic Dermatology (JCAD). Aftercare Instructions in the Tattoo Community: An Opportunity to Educate on Sun Protection and Increase Skin Cancer Awareness. https://jcadonline.com/aftercare-instructions-tattoo-community/

    [11] PMC (National Library of Medicine). Aftercare Instructions in the Tattoo Community. https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC7442309/

    [12] Kazandjieva J, Tsankov N. JAMA Dermatology. 2016;152(2):141-142. doi:10.1001/jamadermatol.2015.4000.

    [13] Journal of Cosmetic Dermatology (2021). Tattoo aftercare management with a dermo-cosmetic product. doi:10.1111/jocd.14157. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33884740/

    [14] Archives of Dermatology (1962). Allergic Tattoo Granuloma. https://jamanetwork.com/journals/jamadermatology/fullarticle/527595

    [15] Journal of Clinical Medicine (2024). Cutaneous Adverse Reactions Associated with Tattoos and Permanent Makeup Pigments. https://www.mdpi.com/2077-0383/13/2/503

    Medical Supervisor

    須賀 公佑 医師

    須賀 公佑すが・こうすけ

    医師・認定産業医

    inklinic 代表 / 株式会社デルマト 代表取締役

    慶應義塾大学医学部卒業後、A.T.カーニーにて戦略コンサルタントとして国内外の医療・エンタメ・エネルギーなど多業界にわたるプロジェクトに従事。2024年、日本初の医療連携タトゥースタジオ「inkly tattoo」を設立。

    タトゥーが「自己表現の手段」として自由に選ばれる社会を目指し、麻酔による痛みの軽減や衛生管理など、医学的知見に基づいた安心・安全な施術環境を提供している。日本におけるタトゥーの医学的・科学的アプローチの第一人者。

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